2024年6月5日(水)から配信開始となったスター・ウォーズの新ドラマ『アコライト』。
今回は第7話「選択」(Choice)のネタバレ考察・感想をお届けします。
テーマ別感想
誤訳
トービンがM値に関して報告している際、以下のような発言をしました。
Their symbionts are the same, exactly the same. Even identical twins would have different symbiont.
(2人のsymbiontsが同じだ。完全に同じ。一卵性双生児であっても、symbiontsは違うはずなのに)
symbiontsの訳について、日本語訳では割れています。
字幕:M値
吹替:遺伝子構造
これ、どちらも誤訳だと思います。
「値」の話ならnumbers(数値)と言うだろうし、「遺伝子構造」に至ってはなぜsymbiontsという語からその訳に至ったのかまったく理解できません。。。。
遺伝子が完全に同じなら、それはクローン技術によって生まれたという仮説が言及されるはずです。驚くことではありません。(100年前に同様のクローン技術水準があればではありますが…)
ここで関連する2つの発言を振り返ってみようと思います。
アナキン「ヨーダが話していたミディ=クロリアンって何なの?」
クワイ=ガン「あらゆる生物の細胞が持つ小さな生命体だ」
アナキン「僕にも?」
クワイ=ガン「君の細胞にもいる。共生生命体(symbionts)だ」
アナキン「共生生命体?」
クワイ=ガン「互いを支えながら共存してる」
『エピソード1/ファントム・メナス』より
正確にはクワイ=ガンは“We are symbionts with them.”と言っているので、上記では「人間が共生生命体だ」と言っています。
お互いに共生しているので「共生生命体」と言われるのであり、今回の用法ではミディ=クロリアンを指しているのは明確ではないでしょうか。
2つ目。
ヨーダ「ここに座れ。ヘルメットを取るがよい。顔を見たい」
サイア「代わり映えしませんよ。元は同じ顔です」
ヨーダ「見た目は同じでもフォースは大きく異なっておる」
『クローン・ウォーズ』シーズン1第1話より
つまり、一卵性双生児どころかクローンであっても、“異なるフォース”を持つわけです。
デバイス上のグラフが重なる描写があるので「M値」は必ずしも誤訳ではないかもしれませんが、本質は捉えられていないでしょう。
遺伝子構造が完全に同じのクローンですらフォースが異なってしまうため、わざわざネクロマンサー計画が進められたのです。
ここ最近のスター・ウォーズシリーズは、わりとミディ=クロリアン(メイ&オーシャ、オメガ、グローグー、ネクロマンサー計画)を軸に一本筋を通しているので、全体の流れを理解できていない、もしくはいわゆる文字数問題とかでここをボヤかしていいと判断したなら非常に致命的ですね。。。
なんたって、辞書を引いたら「共生者、共生生活をする生物」と出てくるし、これまでの映画を見ていたら使用例があるのに、トンチンカンな訳となっているので、日本語訳のフィルターがかかって今後出てくるであろうシリーズ全体のつながりが“見えにくく”なるんですから。
この質であれば、もう以降は英語音声・英語字幕だけで見ようかな…。ボーッとしてたら大事なポイントを見失いそう。日本語字幕はブログでの表記確認が主だし。
純粋な悪意が不在の悲劇
ジェダイ視点のブレンドク編となりました。
アニセヤの発言等から、ジェダイは魔女討伐のためしばらく監視していたと解釈していましたが、偶然発見しただけのようです。
メイとオーシャは当然のごとく適齢期を過ぎていると見なされていました。
双子を見つけたソルの表情にも想像をめぐらせましたが、「人がいた」さらに「フォースを使えた」ということに驚いているだけでした。
魔女たちの不自然な倒れ方の理由も判明しました。
蓋を開けてみると、ブレンドク事件は絶対悪やが謀略が存在しない悲劇そのもの。From a certain point of viewを体現しましたね。
・ソルは持ち前の優しさに引っ張られ、厳しくしている場面だけを切り取って見てしまったため、「虐待されている2人の子どもを救いたかった」だけ。
・トービンは、インダーラの厳しい指導で挫けて「コルサントに帰りたかった」だけ。
・アニセヤは、トービンの意思を利用して武力を使わずして「穏便に事を済ませたかった」だけ。
・唯一攻撃的なコリルも「子どもを守りたかった」だけ。
当然、執着が強いソルとコリルが重要な引き金とはなっていますが、ソルにも過去の出来事があるだろうし、コリルには迫害されて過去があるので、大変残念としか言いようがないですね。
アナキンが闇堕ちしたのは、シミの光が強すぎたのかもしれないなんてふと思いました。
魔女の人数が多かったとはいえ、なぜケルナッカも簡単に操られてしまったのだろうか…?ウーキーのキャラクターは内面描写が難しいとはいえ、何かしら示してほしいな。
クワイ=ガン・ジンのオマージュ
・お腹を突き刺されるアニセヤ(その瞬間の音楽は、クワイ=ガンの葬儀と似ているように聞こえました)
・“悲惨”な場所から救う対象を選択するソル(シミかアナキンかをサイコロで選択、オーシャかメイかを橋で選択)
フォースの集中
ジェダイによるブレンドク訪問の理由は「フォースの集中」を探すためでした。
フォースの集中ってスキャナーで探すものなの?M値も採血から検査できるものではあるけど。
なんだか自然の中で素っ裸水浴びを見た後だと、ジェダイたちの科学技術偏重な態度が際立ちますね…。
映像作品での「フォースの集中」の初言及は、EP1でのクワイ=ガンです。
クワイ=ガン「フォースの集中に出会いました」
ヨーダ「フォースの集中だと?」
メイス「人の周りにか?」
クワイ=ガン「少年です。細胞には信じられぬミディ=クロリアン数値があり、創造主はミディ=クロリアンかと」
『エピソード1/ファントム・メナス』より
結果的にブレンドクのフォースの集中がどのようなものなのか、アニセヤとコリルの力だけで生み出されたのか、謎は明らかになりませんでした。
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