ついに4月23日(水)から配信開始となった『キャシアン・アンドー』シーズン2。
本記事では初回3話の感想と解説をお届けします。
1話で3話の質と情報量詰め込まれているのに、なぜ3話も一挙配信するんだよ。。頭がパンクする…。

舞台となった6つの星とあらすじ
次々と変わる舞台。並行して進む物語。初っ端から展開が早かったですね。
まとめきれませんが、公式データバンクの内容と併せてポイントをまとめました。ちなみに公式サイトでは、今回の3話をまとめてArc 1(アーク1)と呼ばれています。
サイナー テスト施設73(Sienar)
TIEシリーズの製造で有名なサイナー・フリート・システムズ社の施設の一つ。冒頭、キャシアンが潜入してプロトタイプの奪取に成功しました。
データバンクによるとサイナーという名前の惑星ではなく、サイナー社が所有する場所のようです。

ちなみにこのプロトタイプの名前はタイ・アベンジャー(TIE Avenger)だそう。かなりの重武装でしたね。


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警備のTIEは後にEP4でベイダーが乗ったアドバンスドのプロトタイプだそうです。横翼?がカーブしてるのが特徴ですね。
ミーナ=ラウ(Mina-Rau)
フェリックスから逃げ延びたグループが拠点としている農業惑星。


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本作内での「人手が足りてない」発言や、オーダー66後のアソーカも農業惑星に逃げ込んでいる事実から、スター・ウォーズ世界では農業が慢性的に人手不足で働ける人なら多少怪しくても労働力として迎え入れられるのかもしれません。
ブラッソはミーナ=ラウに住んでいるタリアとお付き合いを始めたようです。
とはいえ、合法的な労働許可は持ってないようで、偽名(ビックス→ザラ)を使って修理人として働きながら、合法ビザの獲得を目指していたようです。
てか一緒に逃げたフェリックスの娘たちのジェジはどこですか…?
(びっくりなのが、ミーナ=ラウの畑はライムギの古代種を製作のためだけに植えたらしい…セット命のキャシアン・アンドー。。。。)
ヤヴィン4(Yavin 4)
キャシアンがポルコと待ち合わせに使った衛星。
星名は紹介されませんでしたが、2話最後にキャシアンが脱出する際に反乱同盟軍が拠点として使っていたのと同様の古代寺院と巨大な惑星ヤヴィンを目にすることができます。
にしても、森林という環境と未熟な武装グループ。どうしてもキャサの出身惑星ケナーリを彷彿とさせますね。
シャンドリラ(Chandrila)


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モン・モスマの故郷の星。多分、惑星地表の映像化は初めて。
個人的には、アジアとヨーロッパを融合させたかのような文化が描かれていると感じました。襖のようなドアとノリノリな盆踊りが印象的でした。
マルティーン=ディバイド(The Maltheen Divide)
クレニック長官による秘密会議の開催場所。
惑星ゴーマンでいかに葉状カルカイトの採掘を進めていくか議論されました。
コルサント
シーズン1に引き続きISBの本拠地があるほか、新たにデドラの家が登場しました。
ポイント解説
クレニックの秘密
他の作品を参照すると、クレニックのこの会議での発言がどれだけ嘘にまみれているかが分かります。
単刀直入に言うと、このゴーマン計画とはデス・スター開発を目指すスターダスト計画のための取り組みでしょう。
「ターキン総督などの上級司令官には皇帝が適時にお知らせになる」
→『バッド・バッチ』シーズン2 第15話でエリアドゥで開催されたサミットでは、ターキンが進行役として、帝国の重要計画が話し合われています。当然、クレニックは上司のターキンに対してスターダスト計画の進捗を報告していました。ゴーマンの件だけ秘密にしているとは考えにくいので、①メンバーに重要性を分からせるために嘘をついた、②クレニックが自分のやり方で進めたいので、帝国あるあるの「上官に聞かれて機密を答えてしまう」でメンバーから進捗状況が漏れるのを避けるために嘘をついた、③プライドの高いクレニックの士気を上げるため皇帝がクレニックに嘘をついている、などが考えられます。
「エネルギー自給という皇帝の夢」
→『ローグ・ワン』や小説『カタリスト』では、ゲイレン・アーソがカイバークリスタルによる無限のエネルギー供給を実現するための計画に共感して参加をしますが、内実はデス・スターという超兵器開発のための計画でした。




デス・スター関連については、徹底した情報統制が行われている様子が窺えます。この“最も緊密な集団”に対してすら、すべての真実を明かされていないのです。
実際、小さな衛星サイズの超兵器を約20年にわたって建設し、膨大な資源と労働力を搾取してきたにもかかわらず、最初に存在がバレたのがこの2年後の2BBYです。ジオノージアンが大量虐殺されたのをソウ・ゲレラが見つけたことで、ようやく何か異常な規模の兵器が作られていることが一部の反乱軍に察知されたのでした。
マヤ・ペイの反乱軍
「何のため(に船を盗んだ)?」
「反乱だ」
「どの反乱?」
このセリフ(Whose rebellion?)の字幕訳「誰が反乱を?」は、直訳からわざと外されている上に、シーズン1の内容を全く捉えられていない誤訳ですね。
シーズン1でスペルハウス襲撃を持ちかけられたソウが、バラバラの反乱分子を列挙していきました。その中の一つが新共和主義を掲げるマヤ・ペイのグループです。
キャシアンが言うように、ルーセンはマヤ・ペイに帝国の品を提供しており、ISBの報告では何度もマヤ・ペイのアジトに踏み込んでいたことも明かされています。この体たらくを見ると、詰めが甘い理由が分かるでしょう。
ついには襲撃に遭い、リーダー不在の幼稚な集団と化してしまいました。




「どの反乱分子のため?」というセリフが、いかに反乱勢力内に壁があるかを感じさせてくれます。
にしても、宇宙ジャンケンもどきでリーダーを決めるとは…ダークセーバー決闘がマシなシステムのような気がしてきますね。。
反乱の象徴:キャシアンという男
第1話冒頭に登場したニーヤはおそらくすぐに反逆がバレて、何らかの処罰がされているでしょう。
キャシアンの言葉は彼女を勇気づけるものですが、危篤となった信者に対して神父が与える祈りのようにも見えました。相手が結果の分からない大義のために苦しむと分かっていながら、優しい嘘をささやくのです。


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いざという時に躊躇なく重い決断を下すことができる冷酷さを持ちながらも、心の核にはマーヴァの精神を受け継いでいるキャシアン。まさに反乱軍を象徴する人物だと言えるでしょう。
すでにローグ・ワンに登場したキャシアンになっているように思えますが、彼をどのような困難が待ち受けているのでしょうか…?
苦難のビックス
第1話の冒頭では、拷問を担当したゴースト博士の悪夢にうなされます。1年経ってもこれですから、当初はもっとひどかったのでしょう。。
悪夢に留まらず、ついには本当に男が迫ってきてビックスの脚を引っ張ります。
絶妙に普段から気持ち悪い帝国中尉がやってきました。よく見ると、ウィルの彼女にも嫌らしい目線を送っているようです。
強大な権力を利用して接触を迫る、セクハラの定義のような目に遭いました。みんなのため、、と服従するのではなく、反撃する気力が残っていたのだけが救いです…。
字幕訳はなぜ逃げたのか…。英語でははっきりと、He tried to rape me. と言っています。吹替はレイプと明言していますね。
シーンの進行が生々しすぎて、もうキャラクターに対する可哀想とかいう感情を越えた嫌悪感を覚えさせる描き方でした。。
常に苦しむモン・モスマ
シーズン1では、物わかりが良く純粋に親切であったテイ。娘に夫にスカルダンに、悩みが尽きなかったモスマは優しいテイをなおざりにしてしまっていたようです。
「メッセージを見たか?」「緊急なの?」「いや、後でいいよ」というやり取りは、ここ1年発信力の弱いテイの苦境をモスマが見過ごしてしまってきた理由の縮図となっています。
いざとなればスカルダンに告げ口して裏切り、金をせしめようとでも思い始めた様子のテイ。


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母娘のシーンもリアルでしたね。。終わらない親子の苦しみの連鎖。子として苦しんだ後は、親の立場としてしか伝えられない。
自分の苦しみを重ね合わせるモスマが結婚を遅らせないかと提案しますが、最初のケンカを乗り越え父からのスピーチを受けたリーダにとしては、まだ子供扱いされていると感じるムカつく発言だと受け取ったのでしょう。
いきり立つシリル・カーン、素顔を見せるデドラ
キャラクターの迫力を表現するため、「瞬きをしない」というテクニックがあります。
スター・ウォーズでこれを使っているのが、ダース・モールとシリル・カーン!!!(さすがに力を込めて話す時だけですが)
いやはや、まさかあのまま付き合い始めて同棲までしているとは…。
髪を下ろしたデドラが初めて描かれました。常に隙を見せず、気を張って生きてきたデドラの前に現れた、抜けてるけれども自分を一生懸命に守り、帝国繁栄のためのビジョンを共有できる人。2人の極端な関係性は、フェリックスで0から100まで一気に燃え上がったようです。
にしても、デドラの家。カーン家も悪くない家ですが、日も当たらない集合住宅であるのと比べると、タワマン的な立ち位置にあるのでしょう。
そんなデドラの前に立ちはだかるは、息子を奪われたくないシリルママ。(実家帰りの次は嫁姑問題まで扱う『キャシアン・アンドー』)
デドラが家族の話をするシーン。反応を見ると、シリルも聞いたことがなかったように見えます。
攻勢を続けるシリルママですが、ここまでは「繊細」なシリルを想って言い返してきませんでした。耐えきれなくなったシリルが場を離れたら、ISB式の反撃の始まりです。
新しいママを得たシリル。お前自身の問題は何も解決してないぞ。。。
ただ目を離せないカップルであることに変わりはない!!
各話の細かい感想
第1話「1年後」(One Year Later)
口裏合わせから始まるのはシーズン1のブラッソとの会話を、Nervous is good. Keep us awake.はアルダーニ襲撃前夜のネミックとの会話彷彿とさせます。
パスワードのKafrene(カフリーン)は、あまり関係ないかもだけど『ローグ・ワン』冒頭の舞台となったカフリーンの環を指しているのでしょうか。
シーズン1同様、現実に存在する卑語 shit が使用されました。TIEを後ろ向きに発進させた時ですね。
『反乱者たち』では反乱側でBウィングの試作機「プロトタイプB6」が開発されていました。どちらもそのまま大量生産されていないので、コストが高すぎる機体なのかもしれません。
ミーナ=ラウの家にある通信機器の隣にはマーヴァの肖像がかかっていました。フェリックスの心。
クレヤとヴェルのシーン。「品定め中の独身女性2人ってことで」というセリフは、クレヤが2人で秘密裏に話すための口実として提案したものでした。しかし、レズビアンであるヴェルはクレヤを品定めして、早々に口説く価値なしとして立ち去るというユーモアです。セレブレーション会場では結構大きめの笑いが起きていました。
第2話「サグロナ・ティーマ」(Sagrona Teema)
これまでオープニングの曲は若干聞こえは変わりながらも、メロディは一貫していました。本話では元のメロディはほとんど残っておらず、不吉な感じの曲調に変わっています。
第3話「収穫」(Harvest)
第3話のオープニングではメロディは戻りましたが、おそらく初めてバックの宇宙からそのまま本編に転換していきました。
ストームトルーパー人形の次は、AT-STの操り人形か。


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公式サイトにめちゃくちゃ長くて費用もかさみそうな作り方ガイドが載っています。

シャンドリラの古代の芸術品シャンディ・マール。ラカタはシーズン1でもルーセンによって言及されています。25,000年前というと、マンゴールド監督のジェダイの夜明け作品と同じ年代ですね。。
ダンスミュージックは何とあの「ニアモス!」
フェリックス組の合い言葉は、Stone and Skyのようです。これはシーズン1のマーヴァの葬儀で聞くことができます。
裏切りの兆しを見せ始めたテイに対し、ルーセンはシンタを運転手として付けます。
モスマもISBからのスパイとして運転手を派遣されていましたが、ルーセンはまさに帝国のやり方で戦っている訳です。スパイだけで済めばいいですが、ルーセンの含みにあるように必要とあらばテイは闇に葬り去られるかもしれません。。
パルパティーン流を豪語するも、良い意味でも悪い意味でも情を捨てられないモスマ。
ブラッソ。強くて優しくて本当にいいやつでした。。
最期の一言すらなく、遺体を置き去りにするしかないのが『キャシアン・アンドー』。
本当にこのドラマなんなの?
その他
ディズニープラスさん、いい加減にしっかり字幕設定してほしい。。
最近のドラマ作品において、字幕訳ではルビ、つまりフリガナありで訳されているにもかかわらず、ディズニープラス側ではルビが設定されていない。
結果として「外縁部アウターリム」や「豪奢ごうしゃな」という訳の分からない字幕が表示されています。本来は「外縁部」の上に「アウターリム」と表示されます。スター・ウォーズ セレブレーションでの先行公開時にはルビ設定ができないことを翻訳者側が分かっていたので、「外縁部 / アウターリム」という表示になっていました。そして、そもそもディズニープラスの過去作では普通にフリガナを上部に小さく表示する設定がされています。できるのにやってないのです。マジでどうなってんの?
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