今回は伝説のスター・ウォーズ小説、『スローン三部作』について紹介&感想共有をしていきたいと思います。
ドラマ『アソーカ』の前に読み終わりたかったのですが、読むの同時進行になってしまいました。。
でも、めちゃくちゃおもしろかったですね。
リアルタイムで読んでいたわけでも、関連の作品を幅広く読めているわけでもない私ですが、、
同じように映画ドラマだけじゃなくて本にも手を出してみようかな…という方に向けて私の体験談的なものをお伝えできればと思ってます!
スピンオフまとめ記事がこちらでまとめています。
『スローン三部作』概要
『スローン三部作』(The Thrawn Trilogy)とは、ティモシー・ザーンが著した三部作の小説で、今ではレジェンズ扱いとなった作品です。
つまり、ディズニー買収後に製作された『エピソード7/フォースの覚醒』~『エピソード9/スカイウォーカーの夜明け』とはストーリーや設定が全く違っています。
三部作ということで、3作の小説から構成されています。()内は出版年です。
1.帝国の艦隊/Heir to the Empire(1991年)
2.暗黒の艦隊/Dark Force Rising(1992年)
3.最後の指令/The Last Command(1993年)
和訳版はオリジナル版と新訳版の2種類あります。
①帝国の後継者(1992年に発売開始):和気永富訳、竹書房文庫、
暗黒の艦隊・最後の指令(1993,4年に各発売開始):富永和子訳、竹書房文庫
②新訳(2019年に発売開始):富永和子訳(講談社文庫)
私は新訳版で読みました。めちゃくちゃ読みやすかったです。
オリジナルは読めていないのですが、あらすじで分かる範囲だと名前表記などが改められているようです。(C’baoth→旧:クボース、新:シボース。Wookieepediaを確認すると、新訳が正しい発音)
新訳版はKindleでも取り扱いがあります。
時系列とあらすじ
「エンドアの戦い」で、反乱軍が劇的勝利をおさまり、五年が経った。平和を取り戻していた宇宙に、ふたたび暗雲が立ちこめる。
帝國の新指導者は、未知領域で無数の戦功をあげたスローン大提督。青い肌に赤い瞳、帝国軍ではめずらしい、エイリアンのエリートは、その機知を生かした戦略で、新共和国へ逆襲をはかる。ダーク・ジェダイのシボースと、フォースを無力化にする「イサラミリ」を味方に、ルークと、双子を妊娠中のレイアを追いこむ!!
(公式あらすじ)
時系列としては、『エピソード6/ジェダイの帰還』から5年後(9ABY)の銀河を舞台としたストーリーになります。
ちょうど正史ではドラマ『マンダロリアン』で描かれた時代と同じですね。
大きな流れとしては、新共和国+オリジナルメンバー(ルーク、レイア、ハン、チューバッカ、R2、3PO、ランド) VS スローン大提督率いる帝国残党 の戦いが描かれます。
感想&映像作品とのつながり解説
まず何よりも、夢中になって読めるんです。
バランスが良いんです。
人物の内面描写あり、新しい惑星・種族との出会いあり、手に汗握る戦闘シーンあり、スパイに未知の技術に密輸業者たちまで!
記事を書くために部分的に見直そうと思ったら、一章まるごと読み入ってしまうせいで、記事書くのに想定の3倍くらい時間がかかりました…。
特に、オリジナル三部作の面々の細かい描写が、きれいに解釈一致した上で、新しい姿まで見せてくれます。
最後のジェダイとして師匠たちの言葉を胸に奮闘するルーク、勘も勇気も素晴らしいレイア、若干丸くなったハン…。
映画とのつながり具合もちょうどいいんですよね。しつこすぎず、自然な形で映画での出来事が言及される。
主な新登場キャラクター(微ネタバレあり)
もちろん、新キャラクターにも魅力的な人物が揃っています。
知っている&名前は聞いたことあるキャラクターの初登場が本作だったりします。
スローン大提督
大提督は決して一人称視点で描かれることはなく、常に側近のペレオン艦長の目線から彼の言動が語られます。
そのため、スローンの腹の内が読者に明かされることはないのです。。
2人が対話している時は、ペレオンの読みが褒められれば何だか嬉しくなり、頭が固い発言をすれば一緒になってスローンを恐ろしく感じます。
たまに冗談なのか投げやりなのかよく分からない返しをする時もあり、いちいち肝を冷やされましたね。。
マラ・ジェイド
ルークの妻として有名なキャラクターですね。初登場は本作です。
私も彼女の身の上話は知りませんでした。
ジェイナ、ジェイセン
あの有名な双子も本作が初登場です。
正史化の流れ
本作で登場したキャラクターや概念は、徐々に正史のストーリーに組み込まれてきています。
『反乱者たち』シーズン3
ベイダーと尋問官たちに代わって、主要な敵としてスローン大提督が登場しています。
彼に付き従う形で、暗殺者ルクとペレオン提督も正史化されました。
たどった道は小説版とは全く違いますが、彼らの特徴はそのままにエズラたちの前に立ちはだかりました。
『マンダロリアン』シーズン3
満を持してペレオン艦長が実写登場を果たしました。
舞台設定としても、反乱軍から新共和国への移行が思うように上手く進んでいない点、ルークが弟子への教え方に迷っている点など、共通した内容が見受けられます。
ドラマ『アソーカ』~新作映画
ここまで来ると『マンダロリアン』バースの作品群が、『スローン三部作』の内容をなぞっているのではないか、と思うほどに物語が交差し始めました。
詳しい話はネタバレありの次章に書きますが、いろいろ重なる要素が出てきています。
・アソーカが「帝国の後継者としてスローンが戻る」と発言
・時代設定はおそらく9ABY
・主人公たちを邪魔する議員が登場
・スローンに従う強力な一族
一時は、フィローニ監督映画のタイトルが『帝国の後継者』(Heir to the Empire)になるのでは、とファンたちが盛り上がりを見せていましたね。
本作を読んだ後に『アソーカ』を観ると、新たな気付きや発見があるかもしれません!
ネタバレあり感想
ここからは、作中からの引用や、核心的な内容には踏み込みませんが、大まかな展開も含めた感想です。
感想
スローンが強い。
カードとの読み合いバトルが白熱。
スローンの強みを最も簡潔に言い当てているのは、カードのこの一言でしょう。
「新しい司令官は細切れの情報をひとつに繋げるのが驚くほど得意だ」
by タロン・カード(『帝国の後継者 下』より)
その他、スローンがどれだけ恐ろしい敵か伝わる引用をいくつか。
「戦いでは勝つこともあれば負けることもある。(中略)仇はもちろん存分にとるが、個人的な復讐としてではなく、反乱軍に対する全体の戦略のなかでとるのだ」
by スローン大提督(『最後の指令 上』より)
「勝算のない戦いで兵力と戦艦を浪費するのはごめんだ、と少なくとも四回は拒否したことがある」
by スローン大提督(『最後の指令 上』より)
そんなスローンが犯した唯一の間違いが、忠誠心の在りかを履き違えてしまったことであり、それがエンディングに繋がっていくのも美しいです。。
そして、さっきも書いたけど、ペレオンに感情移入しちゃうんだよな…。
褒められて「かすかに頬を赤らめる」とか、帝国のおっさんなのに萌えちゃうでしょ。。
それ以外だと、密輸業者たちとの揺れ動く関係性も良き。
ただの金の亡者かと思いきや、彼らも人間ではあって、でも常に金とリスクを天秤にかけて動きます。
正史ではジャバの代わりにボバ大名が登場してしまいましたが、タロン・カードが正史登場したらそれもまた面白そうです。
キャラクターの話だと、モン・モスマの理解度が深まるのも良かった。
なぜあれほど強いのか、なぜ新共和国は失敗してしまうのかを、彼女のおそらく唯一の影であるベル・イブリスから描かれてるのは秀逸。ハッとさせられましたね、、
さっきも言ったけど、キャラクターへの解釈が深くて、特徴を言語化してまとめるの上手いんだよな…。
『クローン・ウォーズ』や『テイルズ・オブ・ジェダイ』にも底流するテーマも。
ジェダイは銀河の重要案件にとらわれすぎて、個々の人々を忘れてはいけない
『帝国の後継者 上』より
和訳版だと3作×上下の6冊あって大ボリュームですが、流れるように読めて、大満足な作品でした。
フェイリャとフェリアが似ててややこしかったです。
今後の正史展開との関係性
スローン大提督の攻勢を実現させた鍵となっている要素は、次々と登場しています。
・ウェイランドのタンティス山
→アニメ『バッドバッチ』で登場済み
・スパーティ・シリンダーによるクローンの大量&急速製造
→タンティス山でカミーノ人によるクローン研究が進められている
もちろんクローキング・シールドや、イサラミリは出てきてないので、全てそのままに踏襲する訳ではないでしょうが、ウェイランドを出してきた時点で確実に寄せにきてはいますね。
『クローン・ウォーズ』を踏まえた『バッドバッチ』×カミーノで基礎を作って、『マンダロリアン』でクライマックスに近づけていってるの、作品群がきちんと連動してて、さすがフィローニです。
帰還したスローンがウェイランドを訪れて…という展開が楽しみです。
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