映画好き、中でもスター・ウォーズオタクを名乗るのであれば、
一度は観ておきたい“原点”であり”頂点”である 黒沢映画。
監督のジョージ・ルーカスが、黒澤明監督に多大な影響を受けているのはよく知られた話です。
私チュン・ソロも、ついにDVDを手に入れて珠玉の名作を拝むことができました。
今回は、『七人の侍』のあらすじ&感想、
そしてもちろんスター・ウォーズとの関係性、オマージュ作品を紹介したいと思います。
あらすじ
時は戦国時代。
野武士の一団は度々村を襲い、農民たちは日々怯えながら暮らさざるを得なかった。
絶望する一同の中、若き農民 利吉らは村を守ってくれる侍を探しに行く。
一行は、人格者な浪人 島田勘兵衛を筆頭とする7人の侍の協力を得て村へ戻り、野武士と相対することとなる。
主要登場人物
農民
侍探しに出た3人
利吉:真っ先に戦おうと言い出した若き農民。
茂助:利吉と共に侍探しに出たまとめ役な農民。
万蔵:共に侍探しに出るが、利吉とすぐケンカになる。志乃という娘がいる。
志乃:万蔵の娘。父万蔵に自慢の長髪を切られてしまい、悲しみに暮れる。
儀作:村の長老。「じさま」と呼ばれている。
7人の侍
島田勘兵衛:人格者な年配の浪人。心の広さを利吉らに見込まれ、村を助けることとなる。
岡本勝四郎:若き浪人。勘兵衛の強き優しさに感化され、弟子入りすることを決める。
菊千代:ぶっきらぼうで、一匹狼な浪人。何も言葉を発さずに、うろうろと勘兵衛に付いてくる。
片山五郎兵衛:物腰柔らかな浪人。勘兵衛の人柄に惚れこみ、野武士との戦いに加わる。
林田平八:実直でどこか抜けている温厚な浪人。五郎兵衛に誘われ、仲間となる。
七郎次:勘兵衛の生き別れの部下。再会してすぐに勘兵衛に加わる。
久蔵:洗練された凄腕剣士。1度は誘いを断るが、同行することとなる。
感想(軽いネタバレあり)
まずは個人的な感想から…
圧倒的な迫力。。。
白黒であることを忘れてしまうほどに、生き生きと伝わってくる躍動感。
そして、俳優が強い。
「強い」としか言い表せない。。
島田勘兵衛から滲み出る人徳、
勝四郎の初々しさ、
菊千代の異形さ、
久蔵の触れられもしないような強さ。
愉快、痛快な物語でありながら、ドキッとするように世の本質を突く場面も。
やはり、数で勝る敵に対し、戦術で圧倒する戦ほど観てて気持ちの良いものはない。
そしてこの戦術が見事、地道であるところが地に足ついていて、より興奮できる。
一方で、滅茶苦茶に見える菊千代が、その時々に必要とされることをあっさりとやってのけ、
野武士という悪に怯える弱者であるはずの百姓が、けろっと悪行の片鱗を見せる二面性を持つ、
二元論、一筋縄ではいかぬ世をくっきりと映し出している。
幕間、でかでかと休憩と表示されるのには驚いた。笑
スター・ウォーズファンとしての手短な感想
ちょっと和風に個人的感想を書いてみた後は、スター・ウォーズファンとしての感想を。
まずはやはり「三船敏郎がオビ=ワン・ケノービを演じていたら…」と考えてしまいます。。
菊千代で見せた強さとユーモアは、形は違えどまさにオビ=ワン。
※初期構想の時点でジョージ・ルーカスは、三船敏郎にオビ=ワン役を打診するも断られてしまっている。
そして『新たなる希望』が、「師弟で悪に立ち向かう」という基本構造を沿っている気もします。
ただ、師弟の思いが逆である部分も興味深いですね。
(若き勝四郎が助太刀に乗り気なのに勘兵衛が現実派で断りたい、対してルークは留まりたくてオビ=ワンが誘う)
演出の部分でいえば、
愉快な曲調でありながら儚さも感じさせる音楽、
歌舞伎の引幕のようなトランジションワイプなど、観てて「どこか懐かしさを感じる」のでした。
(スター・ウォーズが影響受けているだけだと思うのですが)
スター・ウォーズによるオマージュ作品
“世界のKUROSAWA”に多大な影響を受けたジョージ・ルーカス。
既存のスター・ウォーズでは、先ほど触れたようないわゆる”インスパイア”や”黒澤リスペクト”といったレベルでしたが、
近年のスピンオフ作品では、もろにストーリーが踏襲されているエピソードが、2作品も制作されています!
『七人の傭兵』クローン・ウォーズ/シーズン2 エピソード17
タイトル英題は『Bounty Hunters(直訳:賞金稼ぎ)』ですが、邦題は思いっきり意識した『七人の傭兵』なんです!
さらに冒頭には、こんな文章が…
in memory of
Akira Kurosawa
そうなんです、「黒澤明を偲んで」というひとことから始まるのです…。
あらすじ
クローン戦争が続く中、消えた医療ステーションを探す任務に出たアナキン、オビ=ワン、アソーカらの3人のジェダイ。
突如敵襲に遭い、惑星フェルーシアに不時着してしまう。
そこで3人が出会ったのは、賞金稼ぎを雇った貧しい農村。
彼ら農家が栽培している貴重な作物シリムを狙って、ホンドー・オナカーの宇宙海賊が攻めに来るというのだ。
3人のジェダイは4人の賞金稼ぎと、この窮地の農家を守るために戦うことに…。
オマージュポイント
3人のジェダイと4人の賞金稼ぎで、合わせて7人なんです!
さらには、槍しか持たない農民を訓練するところ、
敵側の圧倒的装備・火力(馬&種子島→スピーダー&タンク)へ知恵と戦略で対抗するところなど、
かなり忠実になぞっていますね。
(実はこの村の名前 “Akira” っていうらしい!!笑)
共通して描かれるテーマとしては、
力を持つ者の責任といったところでしょうか。
最初は島田勘兵衛もオビ=ワンも、大局的視点から判断して協力をきっぱりと否定します。
が、「弱き者を見捨てるのか」という問いには耐えられず、戦いに加わることとなっています。
ここには、武士道と騎士道に共通する「ノーブレス・オブリージュ(力を持つ者・身分の高い者は、そうでない者たちのためにその力を使うべき)」の考えが込められているのではないでしょうか?
「勝ったのはあの百姓たちだ。わしたちではない」
by 島田勘兵衛
「僕らがこの村を救った訳じゃない、君たちが救ったんだよ」
by アナキン・スカイウォーカー
※ちなみに次のシーズン2エピソード18『いにしえの巨獣』は、ジロ・ビーストというゴジラを彷彿とさせる巨大怪獣が登場する話なんです!日本オマージュラッシュ!?
『楽園』マンダロリアン/シーズン1 エピソード4
現在、ディズニープラスで配信中の新作ドラマ『マンダロリアン』。
その4作目『楽園』は、先程の『七人の傭兵』程ではないですが、
村を守る賞金稼ぎ vs ギャング という共通の構図で物語を描きます。
キャラ・デューンと共に、AT-STを乗り回すギャングどもと対峙するマンダロリアン。
『七人の傭兵』にはなかった、敵の本拠地への夜襲が再現されてましたね。
また、農民の方から訓練を頼まれる、という珍しいパターン。
『七人の侍』観賞後に見直すと、
「農民であろうと、たとえ7人いなくても、意志と導きさえあればやれるんだ!」という強いメッセージを感じました。
おまけ(オマージュシーン?)
ひとつめ
『ファントム・メナス』より、ナブーの戦い。
故郷を守るグンガン軍に迫る通商連合のAATとMTT。
ルーカスがわざわざCGを使って、映像に丘を足したらしいので、あの野武士襲来を再現したのかなと。
どちらも「丘を越えて迫ってくる敵」、迫力満点なことに変わりない。
ふたつめ
スターウォーズ9『スカイウォーカーの夜明け』から。
海洋衛星ケフ・バーにて、草茂る丘の上に7人が立つ。
これ、7人の侍が農村を丘から見下ろすシーンのオマージュとの声が、予告編でのお披露目時点で多数上がってましたね。
▼『エピソード9/スカイウォーカーの夜明け』レンタル版
まとめ
いやあ、やはり古典の力って凄まじい。。
スター・ウォーズ好きであれば、一度ご覧になることをおすすめします(さっき観たばっかりの”にわか”ですが..笑)
▼Amazonプライムビデオリンクです(無料)
▼不朽の名作『七人の侍』を観る
オンラインで手軽に観るのもありですが、
チュン・ソロ的には、コアなスター・ウォーズファンとして、原本を持っておきたくなり。。
医療従事者の方、インフラを支えてくれている多くの方に感謝して家ごもりの時ですね….
買ったまま手を付けていなかった、スターウォーズの原点「黒澤作品」を観るとしよう。ブログにも後々書きやす。 pic.twitter.com/Ekh5XnAgh0
— チュン・ソロ (@mileniumpadawan) April 11, 2020
買っちゃいました。(笑)
“This will make a fine addition to my collection.”
by チュン・ソロ
▼DVDセット
▼Blu-rayもあるよ
実は『隠し砦の三悪人』も買っちゃいまして…(笑)
また観た後に、更新できればと思います!
それでは次に会う時まで、May the Force be with you…
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