スター・ウォーズの魅力の一つと言えば…
登場する多種多様なエイリアンたち!!!
やっぱり、エピソード4のカンティーナのシーンは、「これぞ未知の世界!」でドキドキとワクワクですよね。
今回の記事では、そんなスター・ウォーズ世界の「ことば」に注目してみたいと思います!
~今回の豆知識~
実は、ナイン・ナンが話す言葉は・・・
▼スター・ウォーズ世界の文字「オーラベッシュ」解説記事はこちら
立場・種族によって違う英語の”アクセント”
スター・ウォーズ世界での標準語は、「銀河ベーシック」といいます。
まあ、つまるところ「英語」なのですが、映画の設定上は銀河ベーシック語を英語に訳しているという形です。。
普段は、”理解不能でミステリアスなエイリアン語”に注目しがちですが…
実は、それぞれの登場キャラクターが話す「英語のアクセント・訛り」にも、ストーリーを読み解く鍵が隠されているんです!
①イギリス英語 vs アメリカ英語 !?
帝国側の高官たちは、イギリス英語を話します。
ターキン総督は象徴的ですね。あの丁寧で威圧的な話し方。。
ターキンを演じたピーター・カッシングは、イギリス・ロンドン出身です。
対する反乱軍側は、アメリカ英語を話します。
ルーク・スカイウォーカー演じるマーク・ハミルは、アメリカのカリフォルニア出身。
このアクセントの違いが…
帝国 vs 反乱軍 という構図、
転じて、イギリス帝国 vs 自由を求めて戦う”植民地”アメリカ を暗示しているのです!
「スター・ウォーズ」公開当時の歴史背景を観ると、その意図がより深く分かります。
「スター・ウォーズ」の公開は、1977年。
少し前の73年にはベトナム戦争で「敗北」し、経済は低迷していました。
当時の映画には暗い作風のものが多く、それまであった「世界を支える超大国アメリカこそ正義」という自信を喪失し、アメリカ人の心はすっかり荒廃しきっていたのです。。
そんな中、アメリカンアクセントを話す田舎出身の青年が、銀河最強の帝国を打ち倒す、そんな爽快なストーリーが登場!
アメリカ人の心に、一介の自治区であったアメリカが反乱を起こし、世界最強のイギリス帝国に勝利した「独立戦争」を思い起こさせるのです。
そりゃあ気持ちいいですよね。。(笑)
という、割と国威発揚的な一面もあるんです。
ちなみに、「フォースの覚醒」でレイが初登場した際、”イギリス英語を話す”ことから「銀河帝国皇帝パルパティーンの娘なのでは…?」と噂されていたのは、よく知られる話ですね。
さらにちなむと、パルパティーン演じるイアン・マクダーミドは”イギリス人”ですが、”スコットランド出身”のため、バリバリのイギリス英語話者というわけではないのです。。(笑)
②オーストラリア・ニュージーランド英語
イギリス、アメリカと来れば、次はオーストラリアとニュージーランド!
そんなワイルドな英語を割り当てられているのが、クローントルーパーたち。
クローンたちの”オリジナル”であるジャンゴ・フェットを演じたテムエラ・モリソンが、ニュージーランド出身の俳優なのです。
もちろん、オーストラリアとニュージーランドで違いはありますが。
クローン・ウォーズでは、アメリカの声優ディー・ブラッドリー・ベイカーが声を担当しています。
関係ないけど、特にクローン注目回は、ほぼこの人の「一人芝居」で成り立ってる訳でしょ。それであの性格の使い分けでしょ。ベイカーさんすごすぎるよ。
③フランス語アクセント
「フランス語」訛りの英語を話すのは、トワイレック!
クローン・ウォーズの監督デイブ・フィローニによると…
ジョージ・ルーカス本人が直々に、「トワイレックのアイラ・セキュラにフランス訛りの英語を話させるように」と指示したとのことです。
トワイレックの妖艶な美しさを表現するのに、「最も優雅な言葉」ともいわれるフランス語を採用するこだわりがあったのでしょう。
多くのトワイレックは、フランス語訛りの英語を話しますが、
唯一アニメ「反乱者たち」に出てくるヘラ・シンドゥーラは、ほぼ訛りのない銀河ベーシックを話します。
ですが、敵に捕まった際は素性を隠そうと、他のトワイレックのように訛り言葉で喋りました。
使い分けができるのは、語学堪能な証!
ちなみにトワイレックは元々「トワイレッキ」という母語を持ちます。
実際に話される様子は、アニメシリーズ「クローン・ウォーズ」内で見ることができます。
彼らの母星ライロスに住む少女ヌーマは、ライロス解放のためにやってきたトルーパーのボイルとワクサーを「ネラ」と呼びました。
これは、私が意味を知る唯一のトワイレッキ語で、オビ=ワン曰く「兄弟」という意味だそうです。
④日本語風アクセント
そして、日本語っぽい英語を話すのが、ニモーディアン。。。
ちょっと残念。(笑)
どこかカタカナ英語っぽく、アクセントの付け方も日本人っぽい。
ただ、声を演じた俳優はベトナムやタイのアクセントを参考にした、との証言があるらしいです。
でも「ニモーディアン」という名前すら、「ニホン」に似せてきているように思えてきます。。
物語の立場上は敵で、経済的に強欲ながら、性格は臆病者、というかなり不名誉な役回りですね。
日本が世界第二位の経済大国として脅威的に映った「ジャパンバッシング」の名残なのでしょうか…?
さらに、これ面白いのが各国のバージョンでニモーディアンの訛りが違っていて…
・ドイツ語の吹き替え版ではフランス語訛り
・他のヨーロッパの吹き替え版ではロシア語訛り
となっているそうです。
どれも「歴史上の敵国」のアクセントを話させることで、無意識に敵のイメージを刷り込んでいるのでしょう。。(アメリカの旧敵ニホン、、、)
⑤南アフリカアクセント
これは「クローン・ウォーズ」のシーズン1エピソード15から。
このエピソードで描かれる、2つの民族の争いが、複雑な過去を持つ南アフリカに投影されているのです。
まず登場する民族の紹介。
惑星オート・プルトニアに住む、原生種族タルズと…
オート・プルトニアの衛星パントラに住む、青い肌の種族パントラン。
タルズは、ウーキーのように英語(銀河ベーシック)を話すことができない種族です。
対して、南アフリカ色が出ているのが、タルズへの考え方で真っ二つに分かれたパントラン側。
まず強硬派であるチー・チョー書記長は、タルズを”野蛮”と呼び、彼らの主権を全く認めずにオート・プルトニアを支配下に入れようとします。
彼は、訛りの薄い英語を話します。
つまり、現地に染まらない外からの侵略者(南アフリカを侵略するイギリス)を象徴しているのです。
対する融和派のリヨ・チューチー議員は、タルズとの対立を避けようとします。
そんなチューチー議員は、南アフリカ訛り強めの英語を話すのです。
これは、現地に住み着いて原住の人々と共生していくことを決めた、後々の南アフリカに住むヨーロッパ系住民を暗示しているように思えます。
過去の植民地問題を重ねた、なかなか深めな例でした。
※
そして、もちろん『アバター』のオマージュ設定ですね!
『アバター』では、惑星ポリフェムスの衛星パンドラに青い肌のナヴィ族が住んでいて、
今作では、惑星オート・プルトニアの衛星パントラに青い肌のパントランが住んでいます。
「搾取を目論む者」と「故郷を守る者」との攻防を二重で描いている、意外と深い設定なのでした。
番外編
サラスタンの話す言葉は…?
代わって、ここでは冗談に思える話を。
『エピソード6/ジェダイの帰還』で登場したサラスタン種族のナイン・ナン。
チュン・ソロ的には、あの独特の笑い方が好き。笑
そんなナイン・ナンもまた、ベーシックを話さない登場人物の一人なのですが、
実は彼、ケニアのキクユ族の言葉をそのまんま話してるんです!!
というのも、ナイン・ナンの声優を務めたのは、ケニア出身の留学生キプサン・ロティッチ。
第二デス・スター戦突入前にランドと交わした言葉をそのまま日本語に訳すと…
ナイン・ナン:
「そこにいる皆さん、こちらへ来てください」
エピソード6を上映したケニアの映画館では、このシーンで爆笑が起き、
人気を博したのはルークでも、ベイダーでもなく、、ナイン・ナンだったとの逸話も。。(笑)
まとめ
以上、「スター・ウォーズと言葉」をテーマとした記事でした。
遠い銀河の話でも、結局はこの世界を映し出しているんですね。
中にはバリバリ政治色な背景を持つ言語もありました。。
やはり、掘り出すと面白い!
それでは次に会う時まで、May the Force be with you…
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