徐々に邦訳が進むスター・ウォーズのハイ・リパブリック小説。
私はようやく『イントゥ・ザ・ダーク』と『アウト・オブ・ザ・シャドウズ』の2作品を読み終えました。
どちらも興味深いテーマ設定のヤングアダルト小説となっています。
本記事では、まずハイ・リパブリックの全体像を確認した後、私が読み終えた2つの小説の概要と感想を述べていきたいと思います。
ハイ・リパブリック作品の全貌
映像作品
現状は以下の2つの映像作品がハイ・リパブリック時代を舞台としています。
・ヤング・ジェダイ・アドベンチャー
・アコライト
小説作品
フェーズI~IIIまで、合計30を超える作品が制作されてきました。
邦訳済み作品
現状、以下の4作品が日本語に翻訳されています。
・『ジェダイの光』(講談社、2021年11月発売)
・『イントゥ・ザ・ダーク』(Gakken、2023年2月発売)
・『アウト・オブ・ザ・シャドウズ』(Gakken、2023年10月発売)
・『ミッドナイト・ホライズン』(Gakken、2024年4月)
私は『ヤング・ジェダイ・アドベンチャー』と邦訳小説の『イントゥ・ザ・ダーク』と『アウト・オブ・ザ・シャドウズ』を読みました。
正直なところ、新たな世界観の作品を英文原書で読み続けるというのには腰が引けたため、しばらくハイ・リパブリックにはノータッチだったのです。。
ですが、邦訳作品が出たことと、ドラマ『アコライト』とも関連性があるということで、ようやく初小説も読むことにしました。
▼『アコライト』絶賛配信中。
『イントゥ・ザ・ダーク』
タイトル:イントゥ・ザ・ダーク(Into the Dark)
著者:Claudia Gray(クラウディア・グレイ)
ページ数:上261ページ、下261ページ
扱い:正史(カノン)、232BBY
あらすじ
冒険ぎらいのジェダイの見習い(パダワン)のリース・サイラスは不本意にも、銀河共和国の首都惑星コルサントから辺境への任務につくことを申しつけられる。学究肌の彼にしてみれば、ジェダイ・テンプルの図書館で研究に没頭している方がずっといい。しかし、任務におもむくために乗り込んだ宇宙船が、全銀河規模の大災害にまきこまれ、ハイパースペースからはじき出されると、リースは自分が冒険の真っただ中にいることに気づく!
宇宙船に乗っていたジェダイ一行とその同乗者たちは、一時避難のために遺棄された宇宙ステーションに身を寄せるが、そこでは次々と奇妙なことが起こり始める。このステーションの何かが、暗黒面(ダークサイド)とつながっている! ジェダイたちはこの謎に満ちたステーションの“闇”を突き止めようと動き出す。リースをはじめ、ジェダイたちは果たして真実にたどりつくことができるのか? そこに待ち受けるのは「希望」か「絶望」か!? <上巻>from 学研出版サイト
主人公は、若きジェダイ・パダワンのリース・サイラス。
彼を中心としながらも、他のジェダイや行動を共にするパイロットにも視点が移り、それぞれの目線から物語が語られます。
『アウト・オブ・ザ・シャドウズ』
タイトル:アウト・オブ・ザ・シャドウズ(Out of the Shadows)
著者:Justina Ireland(ジャスティナ・アイルランド)
ページ数:上245ページ、下246ページ
扱い:正史(カノン)、231BBY
あらすじ
シルヴェストリ(シル)・ヤロウは不運の連続に見舞われていた。母の残した貨物業をなんとか続けてきたが、増えつづける借金とナイヒルの襲撃ですべてを失う危険にさらされていた。助けを求めて銀河の首都コルサントに向かったシルはそこで、辺境の宙域の貸借権をめぐって争う、銀河で最も権勢を誇る二つの一族の勢力争いに巻き込まれてしまう。他人の争いごとに関わるのはごめんだが、莫大な報酬が約束されたとあっては、話は別だ。シルは協力に応じるのだった。
一方、ジェダイ・ナイトのヴァーネストラ(ヴァーン)・ロウは、コルサントに召喚されるが、誰によって、どうして呼ばれたのか見当もつかない。パダワンのイムリ・カンタロスを連れ、ジェダイの師弟、コーマック・ヴァイタスとリース・サイラスとともに首都に到着すると、すぐに辺境の宙域の調査に向かうように要請される。なぜ?“何もない”辺境の宙域のいったい何がそんなに重要なのか?
その問いは、ヴァーンを自分の新たな能力の発見へと導き、シルを受け入れがたい過去へと向き合わせることに。そして、導き出された答えは、ついに真実を影から引きずり出すのだった…。<上巻>
from 学研出版サイト
『イントゥ・ザ・ダーク』から少し経った後の話です。リースやマスター・コーマックも出てくるため、読むなら『イントゥ・ザ・ダーク』の後がおすすめです。
また、『アコライト』にも登場するヴァーネストラ・ロウがジェダイの主人公として登場します。
感想(微ネタバレあり)
ハイ・リパブリックという時代を知るにあたっては、ぴったりの入門書といえるでしょう。
当時のジェダイたちの考え方、コアとアウターリムの関係性、銀河を脅かしていた敵、すべてが描かれています。
ジェダイたちは「フォースの真理を究める修行僧」からプリクエルで描かれるような「共和国付きの平和の守護者」に変貌を遂げている変革期にあります。
また、後のクローン大戦につながるようなアウターリムとジェダイ、コルサントの間にある微妙な緊張感も感じることができます。
ハイ・リパブリック時代の主要な敵、ナイヒルとドレンギアも『イントゥ・ザ・ダーク』を読めば、その基本は理解できるでしょう。
『イントゥ・ザ・ダーク』には、石板のような、というか見た目は完全にただの石板な種族ヴィンティアンのジオードが登場します。
そんな生物いてたまるか、と思ったのですが、動物園のドキュメンタリー映像で卵に聴診器を当てている様子を見て「一生、卵の姿をしてるようなものか」と納得しました。
『アウト・オブ・ザ・シャドウズ』の主人公ヴァーネストラは長寿種族であり、この時点では10代ですが、『アコライト』ではその約100年後の姿を見ることができます。
激しく変貌しているので、その間に何があったのか知りたくなるところです…。
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